「4パーミルイニシアチブ」へのワイナリーとしての活動

昨今地球温暖化防止対策として温室効果ガスの削減が叫ばれております。新巻葡萄酒では自社栽培ブドウのみを使用しているため、農業がメインの業務です。毎年の異常気象への対応は益々大変になっているため、小企業ではありますが地球温暖化防止対策に貢献したいと活動を始めています。山梨県では新たに「4パーミルイニシアチブ山梨」という取り組みがスタートしました。それに合わせて弊社でも無煙炭化器を導入しましたのでご紹介します。

「4パーミルイニシアチブ」とは?

「4パーミルイニシアチブ 4‰initiative」とは、土壌の炭素量を毎年4パーミル(4/1000)増やすことができれば、大気中のCO₂の増加量を相殺し、温暖化を防止できるという考え方に基づいた国際的な取り組みです。‰(パーミル)は1000分の1という意味です。2015年12月にCOP21でフランス政府が提案し、2020年12月に日本国を含む566の国や国際機関が参画し、山梨県も日本の都道府県でははじめて参加しました。

現在のブドウ栽培の問題点

ブドウ栽培においては毎年冬になると枝を切る「剪定」という作業を行います。そこで発生する枝「剪定枝」は今までは主に焼却されてきました。「チッパー」と呼ばれる機械を使用して枝を粉々にし畑に還元する方法もありますが、今回新たに「無煙炭化器」を使用して炭にする方法が加わりました。

剪定枝

「炭」なら問題ないのか?

ここで「炭」なら良いのか?という疑問を持ちました。高温・低酸素下で枝を燃やすことで炭は作られます。通常、空気がある状態で燃やす「燃焼」は枝の中の炭素と空気中の酸素が反応してCO₂が出ます。しかし、高温かつ低酸素条件で燃やすことで、熱分だけが放出され、「炭化」という現象が起き、炭素を閉じ込めることができるのです。つまり、炭は原料の木材から熱分だけを取ったものと考えることができます。燃焼させた場合は「灰」となり、金属元素の酸化物と炭酸塩となり強いアルカリ性を示します。

無煙炭化器

剪定枝を炭化するのに使用するのはモキ製作所(HP: https://www.moki-ss.co.jp/)さんの「無煙炭化器」という道具です。見た目はびっくりするほどシンプルで、写真のサイズ(容量167L)で6万円(税抜)と少し抵抗のあるお値段。しかし、ステンレス製で1度買えば10年以上使用できます。

無煙炭化器

山梨県では笛吹市のルッチフルーツデザインスタジオさんが代理店となっているのでご興味があればのぞいてみてください。在庫もあり、弊社の近所でしたのですぐに運んできていただけました。HPはこちら→ https://www.rucci.co.jp/

「炭」を焼く

ブドウの剪定枝は水分が多いため、着火させるのには少しコツが必要ですが、安定して燃え始めると上からどんどん剪定枝を突っ込んでもみるみるうちに燃えていきます。最後の剪定枝を入れてから30分くらいしたら、灰にならないように水をかけて消火し完了です。

炭化① 炭化② 炭化③

炭化④

土壌改良剤としての「炭」

炭は昔から土壌改良剤としても使用されてきました。前述した通り、炭は木材から熱分を奪っただけのものです。そのため木材の構造は残ります。水を吸い上げる導管等はそのまま残り、酸素がその中に入ります。土壌の微生物と植物の根は酸素を必要とするので、それらにとっても良いということになります。また、給水と排水にも優れるそうなので、土壌改良に向いています。ただし、焼いた温度でpHが変化します。700℃以上ではpH8~9、それ以下では微酸性となります。ちなみに、灰になるとpH12~13の強アルカリ性を示します。モキ製作所さんの無煙炭化器では900℃まで上昇するそうです。

炭断面

まとめ

チッパーを使用する方法もありますが、病原菌の問題や、木材の成分であるセルロースやリグニンといった物質が分解されにくいことから弊社では無煙炭化器から始めました。この他にも草生栽培(土壌への炭素蓄積)や草刈りの方法を改良してCO₂の削減を図っています。農業でできる温室効果ガスの削減はまだまだ限られているのが現状ですが、すこしずつできることから取り組んでいきます。

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